2020数学科リレー講座【3次方程式】1日目
2020.08.27
数学史上,約3000年にも渡る未解決問題であった「3次方程式の根の公式の発見」がボローニャ大学教授のシピオーネ・デル・フェッロによって発見されたのが1520年。
その丁度500年目にあたる“3次方程式の根の公式発見500年記念講座”が今日から開始されました。
初日の今日は,前半で,1次と2次の方程式が約4000年前には根が求められていたことの紹介からスタートし,16世紀に発見された3次と4次の方程式の根の公式,そして19世紀に発見された5次以上の方程式の不可解性といった代数方程式についての通史を,後半は数学史上有名な“3次方程式の根の公式の先取権論争”を,それぞれ解説しました。
レコンキスタ運動を一因とする欧州の数学の復権を始め,“数学を通して世界史の一端を知る”ことは多くの受講者にとって新鮮であったようです。
中1から高2までの生徒が混在するこの講座ですが, 講座終了後,一生懸命に2次方程式の根の公式を手中に収めんと,担当者を質問攻めにして努力する何人かの中1もいれば,カルダーノ変換の幾何学的意味をディスカッションする高2まで,興味深い場面が散見されました。
明日は代数学の基本定理を中心に話が展開されます。
<受講者の声>
(中1)2次方程式までは4000年前に解かれていたことや,5次以上の方程式が通常の方法では解けないことを知り驚きました。また,カルダーノが悪者のように言われているようですが,先生が説明されたように,それは誤解に思いました。自分の発見した事柄を,当時の風習のように秘密にせず,自分の著書「アルス・マグナ」で公表したことはすごいことだと思いました。
(中1)内容が高度で難しかったが,理解できたのでとても面白かった。今日の授業では様々な人々が携わって数学という学問が作られたことがよく分かった。明日からも楽しみです。
(中1)2次方程式を(根の公式を使って)解けるようになったのはよかったのですが,3次方程式になると因数分解が出てきたので難しかったです。ただ,これに関する宿題も出たので,頑張って分かるようにしたいです。歴史は,今までは戦いや武将が出てくるといったイメージを中心に思っていましたが,数学者の歴史を知り,とても面白いと思ったので自分でも調べてみます。
(中1)因数分解が難しいと感じられたけれど,「展開の逆だね」と言われて,なるほど!と理解ができました。3次方程式の根が予想よりも複雑であることにとても驚きました。今日の宿題を頑張って,2次方程式の根がスラスラ求められるようにしてきます。